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随筆


運動会
 運動会
 

ムッチャンこと睦(むつみ)は長男の一番下の娘で彼の自宅近くの保育園の年長組であり、来年は小学生になるので、今年の運動会は保育園最後の運動会であった。
「あなた、今年はムッチャンの最後の運動会ですから、必ず行ってやって下さいね」と、もうひと月も前から何度となく妻に念を押されていたが、とうとうその日がやって来た。

10月2日例年になく早い秋の訪れに、その日はうすら寒く薄日が差して時々小雨がぱらつき、余り運動会日和とは言えない天気であった。
保育園はこれで最後だから妻に言われるまでもなく、早くから行ってやろうと心に決めていたが、最後だからという理由の他にもう一つのひそかなおもわく思惑があった。それはは3番目の末娘で上の2人の娘等とは違ってゆとりの出来た親の愛情が深い上に普段私たち夫婦との接触が少ないせいか、上の孫たちと違って祖父、祖母を見る目がどことなく他人行儀でよそよそしいところがあるので『ああやっぱりおじい様は私のことを気にして呉れていたのか』と思われたいという下心もあってのことであった。

車は置き場所に困るであろうとバイクに跨がり風を切って保育園を目指した。近づくにつれて金木犀の甘い香りを含んだ風に乗って園のスピーカーが大声で何かの指示を伝えていた。
駆けつけると運動会はまだ始まったばかりであったが、一見して何となく子供が増えたように思われ、同じような年格好の園児の中から小柄な孫を見つけ出すには大変骨が折れた。

拡声器からボリューム一杯に流れ出すバックミユージック、園長先生の話しかける大きな声、それも時々別のマイクと共鳴してピーと鳴る耳をつん裂くかん高い雑音、子供等に云い聞かせようと懸命に話す保母さん逹の大声、興奮してはしゃぎ回る園児のわめき声、それらがごっちやになって、園庭は喧騒を極めていた。そんな中、我が子の姿をなるべく間近に撮ろうとカメラ片手にせわしく走り回る父母達の姿、いつに変わらぬ運動会風景が繰り広げられていた。

やっと子供達一群の中からムッチャンを見つけて手を振ったが初めはこちらに気づく様子もなく隣の子とふざけあっていたがやがて私を見いだすと意外な人物を発見したとばかりに目を丸くしたが次の瞬間、表情はほころび、にっこりと笑顔に変わって手を振った。やっぱり喜んで呉れたなと気を良くして更に大きく手を振った途端もう次のプログラムに出るため、さっと走り去って行った。

よちよち歩きの乳児組から来年小学校に上がる年長組まで保母さん逹はそれぞれの年代の子に合わせて、てきぱきとプログラムを進行させて行った。しかし特に年少組の中には一向に言うことを聞かない子がいて、出番になっても地べたにひっくり返ってストライキを起こす始末に保母さんは手を焼いている様子であったが、わが子なら一発ゲンコツを呉れるところを保母さんは決して怒らず優しく手を差し伸べている様子を見て、とても私などには勤まらないと感心した。

こうやって見ていると団体行動に馴染んで調和を保つ子、率先して行動し、きちんと自らを制することの出来る子、団体行動からはみ出そうとして馴染まない子、保育園とは本来わがままな人間を自律させ社会への適応の芽を育て上げる大変な作業を行う場であると認識を新たにした。

園児等のリレー競争は特に人気があり、中には大層足の早い子もいて大接戦を演じる度に端からはやんやの声援が飛び交い園中が割れんばかりの騒ぎであった。年少の子で時々走行中円の内側を走る子がいて保母さんに注意されていたが年上になるとそんな子は見当たらず、さすがに年長児だなと思って見ていた。

プログラムが3分の1程過ぎたところで園児等のおじいちゃんおばあちゃん連に競技に出て呉れとの声が掛かった。孫の運動会ならば一番出ずはなるまいと園庭に進み出るとやはり同じ位の年格好の老人達が進み出て来た。良く見るとほとんどがおばあちゃん逹で男性は数える程しか見当たらなかった。然も顔見知りは見当たらず何となく場違いのように感じて、出たことを悔やんだが、出た以上孫の手前もあり引っ込む訳にも行かなかった。7人が横1列に並ぶ数組が編成されると保母さんが競技のルールを説明し始めた。回りの園児等のわめき声で説明が聞き取りにくかったが要は目の前1メートル程のところに置いてある30センチ程の色紙をその先更に5メートル程離れた場所に置いてある同じ色の箱の中に入れてその中に入っている景品を持ち帰ると言う趣向のものであった。

隣の老女にそのことを確認しようと声をかけたが耳が遠かった精かそれとも知らない顔だと思ったのかそしらぬ顔をしていた。私の真ん前には紫色の色紙が置いてありその斜め先には同じ色の箱があったので、私は目の前の色紙を拾って斜め前の箱に入れればそれでことは済むと思い鷹揚に構えていた。やがて保母さんの合図に合わせて7人の走者は一斉に走り出したがなんと隣の老女が矢庭に私の目の前の紫をさらって走り出した。当てにしていた色紙を取られてしまった私は慌ててほかの紙を拾おうとキョロキョロしている間にみんな皆先に取られてしまい脱兎のごとき老女群の巻き起こした旋風で遠くに吹き飛ばされてしまった黄色い紙をやっとのことで拾い上げ黄色の箱に入れて回りを見渡したら残っているのは私一人だけ、つまりビリだった。

走者は7人いて紙は7枚あるのだからそれぞれが自分の目の前の紙を拾って走るものと思い込んでいたが、まさか他人の前にある紙をわざわざかすめ取ることもあるまいと決めて掛かっていた私の考えが甘かったのである。帰宅して妻にその話をしたところ妻は笑いながら
「競争だから仕方がありませんわ、早いもの勝ちでしょう」
と言った。

確かに言われて見れば私は競争をするために出たのに争うことを忘れていたのだと苦笑した。
その後天気も回復し日がさし始めた昼近く父兄と園児の綱引きが始まった。大人に負けじと必死になって綱を引く子供らの真剣な表情に思わず目頭が熱くなるのを覚えた。これから先きの長い人生にどうかこの真摯さを忘れずに立派に育って欲しいと心に念じつつ園を後にした。



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