それは青磁のようにきめ細かく透き通るように青白くそしてテニスボールのようにふっくらとして弾力があった。凛太郎はその小山の頂点の橙色のポッチに口づけしその谷間に顔を埋めて大きく息を吸うと少し汗ばんだ肌の臭いが鼻を擽った。胸の奥からは脈打つ鼓動がしっかりと確実に伝わって来ている、なーんだやっぱり元気で生きていたのか。俺は早まったのか、それにしても恭子にはなんと言えばいんだろう。そんなことを考えながらも彼女の体を引き寄せ、もどかしく腰ひもを解き寝間着をはぎ取ってしっかり抱きしめて口づけをした。舌を絡ませると甘い唾液が口中に広がりその快い感じは彼を益々高ぶらせた。夢中で彼自身を彼女の体の奥深くに沈めると彼女の体はピクピクと痙攣し歓喜に打ち震えた。「ああこの感触だ紛れもなく光枝だ、今度は離さないぞ」時間が止まったように何時までも抱きしめる彼の手が急に力を失った。白くきめ細かく透き通る肌の裸体は彼の腕の間をすり抜け中空に向かって静かに、ゆっくゆっくりと上昇し始めた。凛太郎は必死に手を伸ばして何度も何度も捕まえようとしたが手は滑って思うように捕まえることが出来なかった。それでもやっと寝間着の裾を掴んだと思ったとたん、突然激しいめまいに襲われて倒れ、頭からまっ逆さまに大きな穴に向かって落ち込んで行った。際限もなく深く真っ暗な穴の中をグルグルと回転しながら何処までも下へ下へと落ちてゆき、体から一度に血の気が抜けてゆくような脱力感を感じた。「ああこれが無限地獄か」と独り呟いた彼の耳もとに。スースーという寝息が伝わってきた。ダブルベットに寝ている妻の恭子が寄り添って耳のそばで立てている寝息であった。正気に返った彼の脳裏には一瞬パノラマのように寝棺に横たわる光枝の穏やかな死に顔が映し出されて消えていった。それを確認したように凛太郎は一言「夢か」と呟いて光枝との交わりをもう一度確かめるかのように掛け布団を抱え込み腕の中に強く抱きしめたが、ただわけもなく頬には涙が伝わって流れた。
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